今に残る酒造りに関する記述のうち,最古のものとされる「播磨風土記」。麹と酵母の発酵作用による酒造りの発祥の地はこの播磨と言われている。以来,摂津の国,灘五郷とともに播磨の国は「酒どころ」として広く知られ,東の灘と並び称される「西灘」の地播磨は,古くより酒造りの大変盛んな土地である。播磨が生んだ優秀な技術者「播州杜氏」とともに,酒造りに欠かせないものは,何と言っても優れた「酒米」と「美味しい水」の存在である。酒造りに最も優れた土地で,播磨の銘酒は醸造されている。
「山田錦」 大正12年,酒米「山田穂」をベ−スにして「山田錦」が誕生した。大粒で柔らかく大きな心白,そして低蛋白質と他に類を見ない優秀なこの「山田錦」は,天下の酒米,酒米の王者として,全国の杜氏たちから垂涎の的としてもてはやされている。播州平野で育くまれる酒米の傑作「山田錦」は,「日本一の酒どころ」をつくり上げた。
「播州名水」 「美味しい酒のあるところに美味しい水あり」と言われる。水は万物の源として古来称えられてきた。酒造りにおいてもしかり。水の味は酒の風味に大きく影響する。播州平野は,播但の山地から伏流水として「流れ出る泉の如き豊富な名水」によって,酒造りに欠かせない風土を持った「日本有数の醸造地域」なのである。